長寿命で質の高い住宅とは

 

質の高い住宅に住むことの利点は、大きく2つあると言えます。

ひとつは、住む人に快適と安全、安心をもたらし優れた「Quality of Life」をもたらす点。もうひとつは、住宅評価(資産価値)を高めることで売却時に「高く売る」ことができる点です。

 

性能も価値も長持ちする住宅

既存(中古)の戸建て住宅を売却する場合、金融機関では税法で用いられる法定耐用年数に鑑みて築後2025年程度で、建物の評価は「0」になるのが一般的です。

では、住宅の価値で一定期間で無価値になるかと言えばそうでもありません。

例えば現在では、長期優良住宅制度や住宅性能表示制度があり、長期にわたり良好な状態で使用できる優良な住宅と認められたものについては、経済耐用年数(経済的な価値が何年あるかを示す数値)が長期化していきます。もちろんそこには、建物の初期性能や維持管理の状態が評価されます。

 

建設時から耐久性など性能に優れた住宅を建てることは、経済耐用年数は長期化するうえで非常に大切なことだといえます。

 

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リフォーム・リノベで資産価値を上げる

また、住宅の維持管理にとどまらず、さらに積極的にリフォームやリノベーションを取り入れることで、建物の価値はさらに上がる可能性を秘めています。

資産価値を減少させる要因には、物理的要因(基礎・躯体の腐朽や屋根・外壁・内壁の欠損、設備故障など)、機能的要因(耐震性や断熱性などの性能不足やデザインの陳腐化など)、経済的要因(立地など市場性の減退)などがありますが、これらをリフォーム・リノベーションによって修復(価値回復)、あるいは性能向上することで建物評価は改善します。

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 資産価値を上げるリフォーム・リノベはどのように行うか

 もちろんリフォーム、リノベーションは無暗に行うべきではなく、実地調査を行い、建物の劣化状況や不動産としての個別要因を見極めたうえで適切な工事を行うことが大切です。

住宅・建物の性能調査は専門的な知識と技能を持った専門家(インスペクター)に依頼します。

インスペクターは建物を実地に調査し、構造の安全性や劣化状況を把握し、部位別・構造別に客観的な調査結果を示します。こうした調査結果を踏まえ、改修部位や設備更新などの優先順位を明らかにしながら専門家にリフォーム相談をすることが重要となります。

また建物の改修や設備更新などのリフォームにとどまらず、住まいの価値をゼロベースから見直すことで建物に新たな命を与えるリノベーションの検討も有効です。工事は大掛かりになりますが、それだけに住宅価値の向上効果も大きくなります。このようなリノベーションを検討するのなら、確かな建築知識と実績に加え、市場・経営視点からの提言を行える総合的なリノベーションアドバイザの力を借りることが望ましいでしょう。

 

 主なリノベーションポイント

 

一般的に、資産価値を高めるリノベーションでは、耐久性、耐震性、省エネ性、バリアフリー化、メンテナンス性能(メンテナンスのしやすさ)に考慮すべきです。

 

 耐震性:1981年以前に建築された建物は旧耐震基準に基づいているため体制性能が低い恐れがあります。耐震診断をしたうえで、新たに壁を設けたり、筋交いを増やしたり、梁を太いものに変えたりします。

省エネ性:住宅の省エネ化は消費電力=光熱費を抑えるだけでなく、住む人の身体負担を提言して健康維持に寄与する効果も少なくありません。省エネ化は断熱性能を上げることで実現できます。天井裏、壁の中、床下の断熱材を、より断熱性能の高い材料に変えたり、断熱材が十分でない箇所には断熱材を補填します。また窓ガラスを二重サッシにすることで断熱性能を高めることもできます。

メンテナンス性:建物は年数を経るにつれて劣化していくため、適切な維持管理が必要です。ポイントは床下や屋根裏を点検できる点検口を設置すること。床下や天井裏などの蟻害や腐朽・腐食・欠損など、住宅の劣化状況を日常的に点検しやすくなり、清掃や補修などの維持管理が容易になります。これにより建物の質が維持しやすくなり、永きにわたって資産価値を維持することにつながります。